深爪エリマキトカゲ
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◆ リンクする楽しさ<併読リンク1>
多読(同じ時期に複数の本を読む)の際に,
本たちの(部分の)つながりを思いつく.
これまで幾度かあったが思いついた瞬間に記す機会がなかった.
これについても一言あるが…まずは抜粋.
↓(次の矢印まで飛ばしてください)
 下を書き終えてから戻ってきた.
 上の「~機会がなかった」理由を記そうと思ったが,
 特に意味がなさそうなのでやめた.
 ただ今考えていることとして,
 リンクの表現を「mind map」で整理できないものかと.
 一つ一つのつながりはこうして文章に残すのがよいのだろうけれど,
 沢山溜まってくるようなことがあれば,
 マインドマップ図(ネットワーク図のようなもの)に整理してみるのもいいかもしれない.
 …
 それともう一つ.
 書いている間に思い出した.
 なぜ最初に上の「~機会がなかった」と言った理由を書こうと思ったのか.
 語るのも恐れ多いが,四季の気持ちが分かるなと思ったからであった.
 文章で書くには,手間がかかりすぎる.音声でもだめ.
 思考の速度,広範性に身体の出力系がついてこない.
 (四季は情報の入力系(目,耳など)ですら不満があるようだが)
 彼女は脳内に明確に保存できるからよい.
 しかし僕らは,頭の中で生成されたものの大半が出力される前に消えてしまうのだ.

 彼女には到底及ぶべくもないが,
 自分(人間のことだが)の思考の凄さが垣間見える,うすらと実感できるのは,
 (潜在意識でなく)顕在意識の自分が予想だにしなかったリンクを発見する時ではないのか.
 その経験の一瞬間,人間に対する尊さを感じるのではないのか.

 圧倒的な思考スペックに対する,身体というハードへの絶対的な不満.
 それをして「生きることは自由ではない」と宣う四季.
 ひたすら,恐ろしい存在.
 彼女を前にして,「自分の卑小さ」に果して耐えられるのか.
  そして犀川創平は何処へ行くのか.

①『<識字>の構造』 菊池久一 p.51
 <生成語>は,識字を学ぶ者の実際の生活に密着した言葉でなければならない.<対話>の意義は,このような言葉が,教師役の人間に知識として与えられるものではなく,あくまでも学習者たちの議論の中から生れるものでなければならない.ある人は,貸家に住んでいて,家賃が高すぎるというかもしれない.またある人は,住む家がないことを訴えるかもしれない.なぜそんなに高い家賃を払わなければならないのか,なぜ死ぬほどはたらいているのに家を持つどころか,住むための家を借りることさえできないのか,などといった議論に発展していくかもしれない.そのようにして,「イエ」という言葉に喚起された,人々の様々な考え方が意識にのぼったところで,「イエ」という文字を単なる記号として覚えるのではなく,今までの自分の生き方を重ね合わせて,文字を識るという経験をすることになる.フレイレの考える識字は,このように,単に,ことば(words)の読み書きを覚えることではなくて,自分の生きる「世界(world)」を識ることを意味するのである.

②『四季 – 春』 森博嗣 p.32-33  
「百科事典なら,もう全部のページを見たわ.でも,あそこには,物体の名前しかないの.例えば,綺麗,明るい,早い,という言葉は載っていない.それらの言葉が,どんな広がりを持っているのか,どんな範囲の人たちに通じるものなのか,それが説明されている本があるはずだと思った.そうでなければ,初めて会った人に,どんな言葉を使えばよいのかが分からなくて,不便でしょう?」
 注)この時,話者である真賀田四季は3歳.

要諦は言葉の「質感」のことだろう.
これは茂木健一郎の「クオリア」の話とも大きく関係するはずだ.
…(直上一行は余計だが)このように,つながりを見つけた時,とても嬉しくなる.
この嬉しさは,「発見した文脈が自分だけであると思わせる多階層のプロットを持つ物語の魅力」
という内田樹の議論にも通ずる(いつの日記の話だったかなぁ). →「X氏の生活と意見」2008年5月19日
彼の議論は「一つの作品(小説)」という物語の中の場合だが,
今言っているのは「作品間を渡り歩ける現実世界の自分の人生(読書ライフ)」という物語内の話.
2つくらい次元が外にあるのかな(たぶん).

それはそうと,こういった話題の相似,議論の連関,同一の構造の発見に喜びを見出すことは,
学問の元型なのだと思う.
科学でも文学でも,構造は同じ.
科学はより厳密さを求める(又は期待できる)だけだし,文学はより洗練された飛躍を求めるだけ.

という話に転がるのは…
研究職に決まってから,科学者たる心構えについて考えることが増えたからなのだが,
「リンクさせる楽しさ」は研究者にあって損はない素質のように思う.

「学生の間にできることをしてください」
と就職先の人事の人は言ってくれている.
僕はそれを,次元を一つ繰り上げて受け止めたい.
すなわち,
「いつでもできることだが,学生の間でしか滞留させることのできない
気楽さ,飛躍,皮肉,無責任,余裕,遁世,開放感,厭世,…
をもってやる」こと(このあたりの表現に「戯言シリーズ」の雰囲気が漂う).

何を?
言わずもがな.
「思考」を.
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by chee-choff | 2009-08-27 13:42 | 併読リンク