+*+*+* ー別れましょう。 「どうして?」 ー好きな人ができたのよ。 「僕よりも?」 ー…そう。 「それで、君はどうするつもり?」 ーだから、私はあなたと別れてあの人と一緒になるのよ。 「抽象的だね」 ー…他に言うことはないの? 「同感だ」 ー…? 「訂正しよう。むしろそれは僕が言うべき言葉だ」 ーあなた、私のこと何とも思ってないの? 「それは質問ではないね」 ー…反対しないわけ? 「反対して欲しいの?」 ーあなた、人の気持ちを全然考えないのね。 「そう見えてしまうことは謝ろう。けど、繰り返しになるけれど、それも僕が言うべき言葉だ。君は本当にその人と一緒になることを望んでいるの? 望んでいるのだとすれば、どうして今、僕と君はこんな話をしているのだろう? どうしてこんなことを言うのかと言えば、君が僕のことを分かっていれば、ここでこんな話をする必要がないことも分かっているはずだからだ。つまり話があるのは僕ではなく君の方なんだよ」 ー本当に、あなた、何も分かってない。 「では一つ聞こう。今僕が何を考えているか分かる?」 ー分からないわ。 「…ヒントをあげようか。と言っても正解を言っているようなものだけど。つまり、何を言っても正解なんだ。どう、分かった?」 ー分かるわけないじゃない。 「それが答え?」 ー…そうよ。 「すごいね。数え切れないほどそこらじゅうに散らばっている正解なんか目もくれず、ただ一つの不正解を引き当てるなんて。その天文学的確率をものの数秒で実現できるというのは、ある種の才能だと言える。やはり君は特別な人間だという僕の目に狂いはなかった。君の幸せを祈っているよ」 +*+*+*
by chee-choff
| 2012-11-24 23:40
| 妄想
|
ファン申請 |
||