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深爪エリマキトカゲ
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◆ 動じない「同時性」と「共時性」の矜持<併読リンク13>
張り合ってる感じが微笑ましいタイトル.
ちなみにドージマムテキの馬主は大阪出身(嘘)

このカテゴリを使うのは久しぶりなのだけど,
併読中のリンク自体はいっぱいあるのだけどパターン化しているようで
改めて書き起こすこともないなあというものが多かった.
その意味では本記事は繋がり方が新しい.


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 最後に,おことわりすべきことがある.これから先は冒頭から巻末に至るまで,接続詞の使用を避けるよう心掛けた.文章を難解に仕立てるという不遜な狙いなどあるわけもないが,もし読者に若干の不便をおかけする場合にはご容赦を乞うしかない.あくまで<遅れ>の積極的な意味を,できるかぎり現前させようと力を尽くした結果であり,(…)
春日直樹『<遅れ>の思考』p.27
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(…)止まっている雲もじつは「立ち去ることができない」のであって,ここでは運動障害に罹っているのである.カラスはただそこに「いる」のではなく,「遠出してきた」.運動の結果,おそらく相当に疲労し,なにかにとまって休んでいるのであろう.暗闇は人を吸い込まず,悪夢を「提供する」.ここでは暗闇すら「運動する」のである.(…)ここでは小説に「身を任せれば」いいのである.(…)身を任せていると,運動が心地よく伝わってくる.最後にはメマイまでしてきたから,奇妙なものである.頁から目を離して戸外を見ると,見慣れた風景が,すべて運動の途中経過に思われてくる
養老孟司「運動小説」(『涼しい脳味噌』p.197-198
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後者は時評集(新聞連載などをかき集めたもの)で,
この一節は島田雅彦の『夢使い』という小説の書評のようなものから抜粋した.
『夢使い』の本文の記述が動性に満ちていることを紹介していて,
最後の一文を見て僕は「面白そやな!」と思ったのが今日の20時頃.

でこの4ページほどの書評を読み終えて次に手を取ったのが前者で,
これは今日が読み始めで抜粋箇所は序章の最後の部分.
「接続詞の使用を避ける」みたいなこと自分もやろうとしてたな…
と立ち止まって頭を巡らすうちにふと後者の抜粋部分が浮かんできたのだった.

前者は後者の「動」に対する「静」というわけではなく,
(ちょっと趣旨を把握しかねてるかもだけど)記述における時間の流れを隠すための措置らしい.
抜粋部分の章では「こぎとえるごすむ」が時間順序のニュアンスを与えるとかカントがそこから
時間を抜き取った点が革新的とかデリタはドゥルーズは云々…みたいな話があって,
結局「まあそこはおいといて」で幕開けという面倒臭さプンプンの本なのだけど,
テーマが面白そうだし晦渋なんだけど本音が時々ぽろっと出てくるのでなんとか食らいついていく予定.
「考えることそのものを楽しむ」が底流にあればどんな本でも読める気がするので.
以上散漫メモでした.
by chee-choff | 2012-03-21 00:00 | 併読リンク