深爪エリマキトカゲ
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◆ 低温わかさ
ある話がその話し手によって嘘に聞こえたり本当に思えたりする,
という経験が,その通りだと思いながら癪に障るものが昔はあった.
(人づてに聞いて)話し手が実は違った,となったら「騙された!」としか言い様がないからだ.

が,それは次元の混同が原因であった.
ここでいう「嘘か本当か」は情緒レベルの話でしかなくて,
話の内容自体はいってしまえば「物語」なのだ.

情緒の判断を経ずして話し手を思考に巻き込みたいと思った時には,
「なぜ彼(彼女)はこの話をするのか」
という問いの設定が不可欠だ.


…という話を,『正しく悩むための哲学』(小浜逸郎)を読んでいてなぜか思った.
その理由になるかどうか分からない話をすると,
小浜氏はバランスのよい論者だと思ったのだ.

なんだか自分の流行り以外のものでない気がして恐縮だが,
「結論がよく分からずくだくだ話を続ける」語り口に信頼できるものを感じる.
その「くだくだ」が実りあるものであってこそのことだけれど.

「哲学」と銘打つからにはそうでなければいけない.
かといって本書は純粋に思弁的というわけでもなく,色んな所で実生活と結びつく.
まあ想定読者は「社会に馴染めない若者」らしいのだけど.


で,最初に書こうと思ったのは…現状認識は大事だなあと思わせる部分があって,
それは客観的な思考をするための重要な素材であるから.
正しいか間違いかはまずおいといて,今自分はこういう時代に生きているのか,と
日常と枠組み(の一例)を照らし合わせる知的作業は面白いものだと思う.
正誤のこだわりをその後にもってくれば,そのこだわり自体も相対化できることに気付いて
「ハッとする」経験をするまでの一連の流れはわりと想像しやすくて,
その時の若者(高校生くらいですかね)の表情の変化を見てみたいな,と思ったり.

なんだこれ,教師になりたいのか自分は.
まあいいや,抜粋だけしておこう.
>>
(…)近代社会は,個と共同性の分離,家族の独立と子ども時代の固定化,性的成熟と社会的成熟とのずれ,長い教育課程など,それぞれが相互に影響を及ぼし合うような複雑な構成のもとにあります.そしてそれらの多くには,簡単に乗り越えるわけにはいかないそれなりに歴史的必然な根拠があります. p.143
>>
個々の論理展開を読んだ上でのこのまとめを読むと,ものすごくすっきりしていることがわかる.
ここでいちばん大事なのは「歴史的必然な根拠がある」というところだろう.
誰かが既に考えてまとめてくれてる,と思うかもしれないが現実はそんなに甘くはなく,
そもそもここを押えていれば,性急な社会改革が必要なんて話は出てこないはずなのだ.
いやちょっと違うか…単純な予想をすると,このあたりのことを把握しちゃった人は最終的に
「世間から逸脱しない程度に現状肯定」に落ち着いてるんじゃないかなあと.
で,その人は政治の表舞台には出てこない,と.

ああ,隠居いいなあ…隠居.


という「爺オチ」.
落ちてねえ…


p.s.
いや,意味なしタイトルは後で自分が一番困ると分かってはいる.

小学校で「キャップめくり」が大変流行っていたころがあり,それは
給食の牛乳瓶の蓋を集めて昼休みに廊下で勝負相手とお互い何枚かずつ出して,
じゃんけんで勝った方から先にキャップを床に「倒れたドミノ片」みたいに並べて,
その横から床を平手で打って生じた風でめくった分だけ自分のものにできるという遊び.
 三階建ての2つの校舎をつなぐ二階の渡り廊下が主な試合会場だったが,
 昼休みは渡り廊下を通る隙間もないほど「勝負師」でごった返していた.
 あとは中休みとか授業間の休みには教室の机の上でやったりとか.
全盛期は片手で20枚,両手でその倍くらいは一度にめくれた.
手のひらの皮は当時が一番分厚かったに違いない,
何せ暇があれば机やコンクリの床をバンバン叩きまくっていたのだから.

あまりにのめり込み過ぎて家の部屋がキャップで散乱していたり,
電車で遠くへ出るたびに行き先の駅の売店でビン牛乳を飲んだりしていた.
 「低温わかさ牛乳」というのがたしか通っていた小学校の給食で毎日出ていた牛乳で,
 「酪農3.5牛乳」とか「蒜山ジャージー牛乳」とかそりゃもう他に無数のキャップがあったのだけど
 それらと「低温わかさ牛乳」とには独自の交換レートがあって(それらを「めずら」と呼んでいた),
 学内では腰にキャップを大量に入れた巾着袋を常時ぶらさげたりしていて,
 そうかあれは通貨だったのかと今さら思う.
 何か別の価値あるものと交換できたわけではないが(いや知らないだけで「闇市」があったかもしれない),
 年の差など関係なしに「持てる者への羨望のまなざし」があったことは確かだ.

なぜ昔話に花が咲いたのか…
いや,「若者→わかさ」だなんて口が裂け(ry
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by chee-choff | 2011-07-22 00:46 | 思考 | Comments(0)