深爪エリマキトカゲ
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◆ 「花」・涙・肉体・解釈・思想・観念
引き続き『小林秀雄の恵み』(橋本治)読中.
引用は孫引き.

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「平家」の人々はよく笑い,よく泣く.僕等は,彼等自然児達の強靭な声帯を感ずる様に,彼等の涙がどんなに塩辛いかも理解する.誰も徒らに泣いてはいない.空想は彼等を泣かす事は出来ない
(…)
「古事記伝」を読んだ時も,同じ様なものを感じた.解釈を拒絶して動じないものだけが美しい,これが宣長の抱いた一番強い思想だ.解釈だらけの現代には一番秘められた思想だ
小林秀雄『無常といふ事』
(『小林秀雄の恵み』p.237)
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「解釈を拒絶して動じないものだけが美しい」
まあそうだろうね…と頷いてからどきりとする.

あらゆるものに解釈を施し,空想に涙する今の自分は何なのだろう.

そうか,これは「解釈だらけの現代」への抵抗だ.
 牙を抜かれる前に,噛み付き返せ.
 流動食に慣らされたくなんかない.
「解釈を拒絶して動じないもの」を感じるために解釈を拒否することは逆効果だ.
解釈が「単なる解釈」だという認識を得るためには解釈を極めなければならない.
「つまらない解釈」を「解釈抜き」と誤認することのないよう.
これは現代人が昔を憶(おも)うための手続きなのではないか.
逆説的だが,複雑な現代の価値観(という枷)を取り外すためには,
その複雑を御し得る解釈の技術が必要なのではないか.

と,とりあえずの落ち着きどころを見つけてみた.
逆説的というか,言葉通り「逆説」な気もするんだけど…ね.
タイトルの並びがこの先どう変わるか.

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美しい「花」がある,「花」の美しさという様なものはない.彼の「花」の観念の曖昧さに就いて頭を悩ます現代の美学者の方が,化かされているに過ぎない.肉体の動きに則って観念の動きを修正するがいい,前者の動きは後者の動きより遥かに微妙で深淵だから,彼はそう言っているのだ.
小林秀雄『当麻』
(同上,p.213)
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by chee-choff | 2011-04-10 19:00 | 思考