深爪エリマキトカゲ
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◆ 君だけに
ある言葉を受け取る.

会話している人から,読む本や新聞から,あるいは回想の中の人から.

その言葉は,自分に向けられているか.

 自分だけに向けられる言葉は稀であり,
 相手が自分の目をみて放つ言葉であっても,
 自分を含めた多くの人に対していたり,
 相手自身に向けての言葉が自分に漏れているだけの場合もある.

 それはwritingsとして受け取る場合には尚更顕著となる.
 自分(あなた)に向けて,という表現の意味は
 せいぜい自分と同じ職業や世代の人々に向けてでしかない.


意図の伝達のすれ違いについて考える.

それは話し手の意図が聴き手に完全に伝わることはない,

という自明の理をなぞるにとどまらず,

「伝達不良の割合をどの程度許すか」について考えること.

聴き手に大勢の人を想定した場合(本の執筆がそうだ),

聴き手によってその「伝達不良許容率」は異なるのが普通と思われる.

誰に最も正確に伝えたいのか.

その的を絞れば絞るほど,的から外れた人々に伝わる程度も下がる.

この比率関係がwritingsに限らず個々の会話にも成り立つのであれば,

自分の思いが相手その人にだけ伝わるような表現というのは,

究極には「利己的」であるということ.

相手の為を強調する表現はその相手が誰であれ通じてしまうものであり,

相手がその人でなければ自分は満たされないと言い切ることができて初めて,

相手は自分のことを(好悪はどうあれ)一人の特別として見るのだろう.


それは一つの「始まりと終わり」の始まりでしかない.

往々にして,その「始まりと終わり」の「終わり」は,

見て見ぬ振りをするのが事を楽しむには吉である.

紙芝居の「はじまりはじまり〜」のかけ声に,

期待だけをぱんぱんに膨らませ,きらきら目を輝かせる子どものように.
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by chee-choff | 2010-10-09 20:18 | 思考 | Comments(0)